Hatch Meets最終報告会開催報告
2022/3/23 Hatch Meets最終報告会としてNAGOYA Open Innovation Dayの中で行いました。
今年度の最終報告として、プロジェクトの取り組み内容に対してゴール設定やプロジェクトの成果も併せて発表していただきました。
NAGOYA Open Innovation Dayについてはこちらをご覧ください。https://nagoyaopeninnovationday.peatix.com/
<Hatch Meetsのアジェンダ>
14:20〜14:25 HatchMeetsの趣旨説明
14:25〜14:30 PJ報告1(テラスポ鶴舞AIカメラプロジェクト)
14:30〜14:35 PJ報告2(ACTABAプロジェクト)
14:35〜14:40 PJ報告3(GMCスポーツ教育活用プロジェクト)
14:40〜14:45 PJ報告4(なごのキャンパス先端無線実証プロジェクト)
14:45〜14:50 PJ報告5(道路標識メンテナンスDXプロジェクト)
14:55〜15:00 PJ報告6(合意形成プロジェクト)
15:00〜15:05 PJ報告7(WINDABプロジェクト)
15:05〜15:25 講評
<Hatch Meetsの趣旨説明>
2021年度では会員数は89社まで増え、オンラインとオフラインの両方のコミュニティで先端技術実証とフィールドの価値を高めて行きました。
本年度では新たにプロジェクトのゴール設定の作成や、ネットワーキングの強化、プロジェクト創出数を増加していきました。
<プロジェクト報告内容>
●PJ報告1「テラスポ鶴舞AIカメラプロジェクト」
事業者:株式会社NTTSportict
フィールド:鶴舞公園多目的グラウンドテラスポ鶴舞
テラスポ鶴舞AIカメラプロジェクトはAIカメラ&配信PFを活用した地域スポーツ映像化による地域活性化を行うプロジェクトです。
2020年度より継続してプロジェクトを行なっていて今年度は「スポーツ施設の新たな価値の想像」と「施設利用者への満足度向上」「他施設への水平展開」をゴール設定としました。
プロジェクトで取り組んだ内容詳細はこちらをご覧ください。
実証実験の成果として、AIカメラで撮影した試合をリアルタイムやアーカイブで視聴することができるテラスポ鶴舞チャンネルでは試合が複数あった月とコロナの影響で試合が全くない月ではユニークユーザー数に大きく差があることが判明したことから、毎月試合配信を行うことが配信チャンネルを育てていく点において重要だと解った。
配信流入経路の解析については直接アクセスが最も多い為、 HPトップからの導線や拡散しやすい仕組みの構築が今後必要になることが判明した。
また、テラスポ鶴舞に設置しているAIカメラは固定式で移動することができないが、持ち運びタイプのAIカメラを導入することで他の試合会場へ柔軟に撮影を行うことができるようになりました。
2022年度はプロジェクト継続し撮影配信数を増やすこと、流入経路を改善すること、名古屋市や地元企業の支援を受けながら更なる価値創造を推進していくことを目標に進めていきます。
●PJ報告2「ACTABAプロジェクト」
事業者:サグリ株式会社
フィールド:農業委員会(緑政土木局都市農業課)
衛星データによる耕作放棄地検出アプリの実証プロジェクトは、衛星データをAIが画像解析し、耕作放棄地を自動で検出するアプリケーション 「ACTABA」を活用し、農業委員会が実施する農地パトロール(耕作放棄地の確認作業)の負担軽減に貢献出来るかを検証するプロジェクトです。
2021年度からマッチングとプロジェクトに向けての準備を進め、今年度は「ビジネス展開に向けた全国への営業に注力」と「農業委員会の実証実験を基にACTABAを改修」をゴール設定としました。
プロジェクトで取り組んだ内容詳細はこちらをご覧ください。
実証実験の成果として2021年度には約40自治体へ展開することが出来ました。
ACTABAの改修は2点を実装しました。
・農地を現地調査する委員用に、どこを回れば良いか現在位置はどこか、判定結果を入力できる機能。
・取りまとめを行う事務局用に、どこを委員に回ってもらうかID管理機能と判定結果を集計できる機能。
結果タブレット端末を使った調査では調査地点の特定が地図よりわかりやすく、システムに結果入力や現地の写真を登録することができ便利であったという声もある一方、2022年度は予算とルール変更の観点から導入は見送りとなりました。
今後は作付け調査について名古屋市で継続実証をできないかを検討しています。
●PJ報告3「GMCスポーツ教育活用プロジェクト」
事業者:株式会社ignArt
フィールド:朝日インテック・ラブリッジ名古屋、名古屋リゾート&スポーツ専門学校
GMCスポーツ教育活用プロジェクトはコミュニケーション向上を目的とするWebアプリケーション「GOOD MORNING COLOR」を活用し、メンタルケアやチーム間でのコミュニケーション向上を図りマインドセットや、よりよいチーム作りに貢献するかを検証するプロジェクトです。
今年度は「チーム成績アップの実績より、他スポーツチームとの契約、横展開と教育分野への展開をはかる」と「離職率低下の実績より、事業化の分野を広げる」ことをゴール設定としました。
プロジェクトで取り組んだ内容詳細はこちらをご覧ください。
実証実験の結果としてアプリ利用者からのアンケートでは約70%がアプリが終了してしまうと残念であるという回答や、アプリ内でお気に入りの機能は何かを聞いたところ「毎日の色、気分の入力」が一番人気でした。
2022年度は朝日インテック・ラブリッジ名古屋、名古屋リゾート&スポーツ専門学校とは実証実験を継続。さつま町教育委員会との包括連携協定を締結し、新年度から小中学生1500名を対象にアプリの提供を開始します。
●PJ報告4「なごのキャンパス先端無線実証プロジェクト」
事業者:スターキャット・ケーブルネットワーク株式会社
フィールド:なごのキャンパス
なごのキャンパス先端無線実証プロジェクトはなごのキャンパス内に先端無線設備(ローカル5G、Wi-Fi6など)を構築し先端無線技術を気軽に体験できる場として開放することでなごのキャンパスの関係者や先端無線技術に興味を持つ多くの企業・団体と連携し、新たな産業の創出を目指すプロジェクトです。
今年度は「ローカル5G等の先端無線技術の認知向上と本実証実験環境をPR」をゴール設定としました。
プロジェクトで取り組んだ内容詳細はこちらをご覧ください。
実証実験の結果として、セミナーや個別ヒアリングにより業種を問わずさまざまな企業に対してローカル5Gの可能性を訴求及びヒアリングすることができた。
ヒアリング結果を元に機器を選定、年度内に調達などに着手することが出来た。
2022年度には夏頃に向けた設備構築を目指し、ローカル5Gを実際に触れてもらうイベントの実施をしていく。
●PJ報告5「道路標識メンテナンスDXプロジェクト」
事業者:古河電気工業株式会社
フィールド:道路標識の点検業務(緑政土木局道路維持課、熱田土木事務所)
道路標識メンテナンスDXプロジェクトは、日常の巡視映像を取得・蓄積する動画データを用いて状態診断システムを構築することで、道路付帯物メンテナンスサイクルの効率化と有効性の検証するプロジェクトです。
今年度は「道路付帯物維持管理ソリューションみちてんシリーズを用い、名古屋市熱田区で管理している道路標識の位置や状態を効率的に把握し、予防保全型メンテナンスへの貢献可能性を探る。」ことをゴール設定としました。
プロジェクトで取り組んだ内容詳細はこちらをご覧ください。
実証実験の結果として、約1週間の解析作業で約480基の標識の種別や位置情報を把握。
損傷等の疑いがある標識を、現地に行かずに効率的に発見。に効果があることが判明しました。
今後は熱田区以外のエリアへの展開や具体的な工数低減効果の検証などを進め、小規模付帯物による事故ゼロな社会を目指していきます。
●PJ報告6「合意形成プロジェクト」
事業者:名古屋工業大学
フィールド:名古屋市未来デザインチーム
合意形成プロジェクトは、合意形成支援技術を実社会で役立つようにする為、反復的な合意形成プロセスに基づく自動ファシリテーション手法・議論構造化手法を検討を行うプロジェクトです。
今年度は「システムが提示する質問や構造化が、名古屋市の未来や時期総合計画に関する背景理解度や当事者意識の向上に寄与することを確認」と「名古屋市の未来や時期総合計画に関して根拠が示された建設的な意見が増加」することをゴール設定としました。
プロジェクトで取り組んだ内容詳細はこちらをご覧ください。
実証実験の結果として5つのグループで根拠を伴う構造化の中で、段階的なファシリテーション質問が施策に関するアイデアの具現化に寄与することがわかったが、検証には各種評価指標について段階的なファシリテーションが無い場合との比較が必要なことがわかった。
オンラインでの議論の経験が乏しい参加者には効果が限定的なこと、心理的安全性のある場づくりや背景知識を保管支援機構が必要という課題も出てきた。
今後の展望として2023年度の時期総合計画に関するタウンミーティングまでに市民の背景理解向上や当事者意識向上、建設的な意見の増加に寄与するシステムを実装し、蓄積・構造化した議論は向上的な市民協働・官民連携に利用できる様にしていきます。
●PJ報告7「WINDABプロジェクト」
事業者:株式会社ヤマダ
フィールド:中部国際空港セントレア
WINDABプロジェクトは風力を減衰する建材「WINDAB」を活用し、高層建築物の増加で増えている「ビル風」の影響を緩和できるかを検証するプロジェクトです。
今年度は「検証により量産化へのスピードupと量産開発、製造の体制構築」「空港エリアに適した製品企画を創り出すし、他空港等への本設置に結びつけ」「他フィールド設置へ繋げる」をゴール設定としています。
実証実験の結果として、風が吹く日が少なかった為2022/3/6〜3/31までに予定していた期間を4/28まで延長することになりました。
WINDAB設置に関する前後の騒音差についてや風量については計測中だが、体感をどのように評価するか方法を検討中となっています。
今後の展開に関しては、セントレアとの実証実験終了後の分析と評価により検討していきます。
講評
株式会社官民連携事業研究所 取締役CCO/Code for AICHI 代表
晝田浩一郎さんからのコメントを各プロジェクトごとにいただきました。
テラスポ鶴舞AIカメラプロジェクト>
地域×スポーツは注目分野でスポーツ人口を増やそうと支援する企業も出てきているので、そういった企業と一緒に組むともっと広がるのではないか。
ACTABAプロジェクト>
耕作放棄地を検出する仕組みであるが、固定資産税や空き家など現場に確認しにいくような業務にもactabaが利用できると思う。分野は違うが展開していけると事業の幅が広がるので視野に入れてみてほしい。
GMCスポーツ教育活用プロジェクト>
教育委員会は自治体内で一番固い部門なので、そこと連携できているのは大きな実績になっている、他自治体に入ってもここを突破点に広げていけると思える。
なごのキャンパス先端無線実証プロジェクト>
ローカル5Gについて知識を持っている人は少ないので、啓蒙活動の先に2年3年先のイメージを持っておくと良い。
道路標識メンテナンスDXプロジェクト>
ドラレコのデータを取れるのはすごく良い、王道で進んでいくのは良いが、ずれたところでは私有墓地など管理されてないもの見てるけど見えてない部分に応用をしていくのも自治体によってあればよい。
合意形成プロジェクト>
世論が揺れ動く時代で合意形成はとても重要になってくる。会議やワークショップ等の結論を出す場でも効果があるが、採用面接などの意思決定を必要とする場面でも使えそう。
WINDABプロジェクト>
騒音、風を軽減するという発想は高速道路や公安やスポーツ会場、イベントへの会場待ちなどにWINDABの様な設備があるのと助かる。
避難所への展開などちょっとした隙間スポットへの設置も考えると社会的価値が上がるのではないか。
グラレコ
執筆者:長岡造形大学 黒田安寿