2021年PJ報告No5.
道路標識メンテナンスDXプロジェクト
実証事業者 古河電気工業株式会社
フィールド提供者 緑政土木局道路維持課、熱田土木事務所
本プロジェクトは、日常の道路巡視時に取得した動画データを用いて状態診断システムを構築することで、道路附属物メンテナンスサイクルにおける点検業務の効率化と有効性の検証を行う。
道路標識や照明施設など道路附属物の老朽化による事故を防止するため、5年に1度の近接または外観目視を基本とした定期的な点検を実施するよう法令等で定められている。
膨大な数の施設を点検するにはコスト面での課題があり、日常業務の道路巡視に用いるパトロールカーに取り付けたドライブレコーダーの録画データを解析することにより、低コストで継続的に道路附属物の変状を捉えることができるか実証実験をおこなった。
実証実験内容
熱田土木事務所の道路パトロールカーのフロント・サイド・リア側にそれぞれドライブレコーダーを設置し、通常の道路巡視業務を行う。
録画されたデータから道路標識などの道路附属物を特定し、支柱の腐食や標識板の折れ曲がり、ボルトのサビなどの変状を画像データ上で確認する。
画像データと名古屋市が同時期に実施している道路標識の業務委託の点検結果を照合比較し、近接目視による点検結果とどれだけ違いがあるかを確認する。
実証実験の結果、効率的に外観目視程度の点検を行うことができ、さまざまな変状を広範囲に把握することが可能であった。また、データの収集と同時に管理台帳のデジタル化を行うことができるため、台帳未整備の施設などは維持管理をより効率的に図ることが期待できる。
継続的にデータを蓄積することにより、経年劣化の進行具合を観測することも可能となってくる。
以上のことから、道路附属物の点検業務への一定の有効性が期待できる。
今後は、ドライブレコーダーの画角範囲に収まりづらい道路附属物の記録(撮影)方法の改善を試みて更なる点検技術の向上を図るなど、日常の巡視業務がより効率的で効果的となるよう名古屋市に提案し、道路附属物の点検業務の合理化に向けての検討を行う。