これまでになかった新しい移動の楽しみを! 金城ふ頭来訪者への最適な案内ツールの開発

本レポートは、課題提示型支援事業の1つ、社会課題「金城ふ頭来訪者への最適なアクセスルート案内ツールの開発」の実証レポートです。

(2015年に金城ふ頭でオープンしたレゴランド )

「今度の休みはどこに行こうか。せっかく出かけるならこれまで行ったことが無い面白いところもあると良いなあ……」

コロナ禍で気軽に遠出するのが難しくなっている中、それならば身近な場所に出かけてみようと思う方も増えてきているのではないでしょうか。ところが、いざ出かけてみようと思っても、自分のその時の気分や興味関心に合う場所をさっと決められる人ばかりではないと思います。加えて、目的地となる施設やイベントの主催者の側でも、新たな来訪者を呼び込むための発信や魅力付けを行うかで頭を悩ませているかもしれません。

こうしたサービスの提供側と来訪者とのマッチングの課題を解決し、新たな来訪を促進していく取り組みとして、名港開発振興課と株式会社New Ordinaryは、今年度のHatch Technology NAGOYAの社会実証として、2021年10月より港区の金城ふ頭でデジタルマップアプリケーションNOSPOTを活用した実証に取り組みました。

(金城ふ頭の様子©名古屋港管理組合)

実証フィールドである金城ふ頭は、完成自動車の輸出拠点でありながら、名古屋市国際展示場やリニア・鉄道館、レゴランドなどの様々な施設が集積している地域です。年間約60万台の車での来訪があり、円滑な交通誘導と来訪機会の増加を両立していく必要があります。

今回の実証のポイント

今回の社会実証では、NOSPOTを使用し、金城ふ頭における来訪・地区内回遊を促進する仕掛けを構築し、以下2点について金城ふ頭内のイベントや施設で実証をおこないました。

①デジタルマップアプリケーション「NOSPOT」を用いることで、金城ふ頭における港湾風景の魅力発信、更なる来訪機会の創出に繋がるか。

②金城ふ頭エリア内の施設情報や体験イベントを紹介するデジタルマップを作成、活用することで、アプリ利用者の金城ふ頭エリアへの来訪意欲の促進や満足度の向上、周辺施設への回遊性の向上に繋がるか。

(NOSPOTのコンセプト)

NOSPOTの利用者は、最初に自分の好みやその時の気分を登録します。それに基づいてAIにより目的地がレコメンドされる仕組みとなっています。 このとき、地域の中でのオススメ場所だけでなく、目的地となる施設内のデジタルマップを表示することができ、相互に行き来することも可能となっています。

(NOSPOT利用イメージ)

まず、2021年10月にメイカーズ ピア内で開催されたSeaside Park Nagoyaで来場者にNOSPOTを利用してもらい、アンケートへ回答していただきました。

(Seaside Park Nagoyaの様子)

その結果、

「自分が知らないところを教えてくれるのは嬉しい」

「レゴランドやメイカーズ ピアのお店やアトラクション情報があると、もっと良い」

など、周辺施設や会場内の情報を把握したいというニーズが確認されました。また、アンケートの回答者の78%がNOSPOTにより金城ふ頭の好きな場所を見つけられたと回答しました。

アンケートで得た利用者の声を踏まえて、「他施設のデジタルマップを加えて金城ふ頭一体での案内を行うことで、更なる来訪促進につなげられるのでは?」という仮説が生まれました。

これを検証するため、リニア・鉄道館のデジタルマップを構築し、公開しています(※公開期間は2022年3月末まで)。

(リニア・鉄道館のデジタルマップ)

今回の検証でも利用者の方にアンケートへ回答いただいた結果、回答者の70%がNOSPOTを用いて金城ふ頭内の他の場所へも移動しようと思った、と回答し、近隣の他施設でのランチを事前に決められて良かったという声もありました。

また、デジタルマップについても、

「リニア・鉄道館のホームページだけではわからない詳細な体験出来ることなど知れた。」

「入館前に子供とどの展示を見ようか計画を立てられそう。それだけで楽しそうだなと感じた。」

というような声があり、訪問する前から目的地のイメージを持てることで、今回取り組んだ来訪促進につながるきっかけの一つとなるのでは、と考えられます。

今後、さらに施設やマップ、おすすめスポットの登録が増えていけば、より利用者にとっての利便性も上がり、金城ふ頭への来訪者の増加や、金城ふ頭周辺での更なる回遊促進も期待できるのではないかと期待されます。


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