実証事業者:株式会社ヤマダ
フィールド:中部国際空港株式会社
実施期間:2022年3月6日〜4月27日
WINDABとは
WINDAB(ウィンダブ)は風車を使用して風力減衰を行う、風害の発生を防ぐことを目的とした株式会社ヤマダのオリジナル建材で、半円柱形状の羽を3枚組合せたサボニウス風車を使用し、風が風車を通過し回転することで風速を軽減させます。
使用されている風車には小型発電機が搭載されており、回転エネルギーで自ら発電した電力により風車の回転を制御して暴風時の過回転防止・風車等の破損を防ぎます。
また、制御で余った電力はバッテリーに蓄え、緊急時の補助電力や案内表示器等に使用をすることが可能です。
Hatch Meetsの実証実験に至るまで
株式会社ヤマダでは高層ビルの風環境のCFDシミュレーションを行い部材の強度の検証を重ね建築物に実装可能な建材を発明しました。
矢島工業ではロータ回転方向変更が空力特性に及ぼす影響を確認する風洞実験を行い、
名古屋工業大学御器所キャンパス3号館6階での風車システムの防風性能、発電性能を検証してきました。
実証実験の目的
WINDABを設置することで風速の減衰や通行人の体感に影響があるかを検証します。
検証するのは以下の2点です
・自然環境下における風速の減衰率がどれくらいか
・発電量、騒音量がどれくらいか
また、検証により空港エリアに適した製品規格を作り出す。
実証実験内容
セントレア第2ターミナルエントランスバルコニーにWINDABを設置し、風速・騒音値・発電量の計測等を行います。
実証実験の結果
セントレア第二ターミナルエントランスバルコニーに設置したWINDABの耐震強度解析では、耐震クラスB上層階 Kh=1.0。耐震強度解析及び耐風圧計算は、地表面粗度区分:II 風圧力:3128N/㎡となり、実証実験中に事故が発生しないよう安全を確認したのち、計測が行われた。
設置期間中に想定していた以上に風が吹かなかった為、風車が回転した日数は57日中20日だった。
WINDAB設置前の騒音値
通常時50〜55db程度
音発生時(利用者の声、カートや荷物の通行音、エアー離発着、その他)57〜81db
WINDAB設置中の騒音値
無回転時:50〜55db
回転時:58〜63db
風速減衰については、気象庁発表の風速とWINDAB前方・後方からの風を比較した際、WINDAB前方と後方の風速が弱くなっている傾向が見えた。
発電量は1台あたり、0.1〜3.4wh
3.4wh発電時は風速10.48m/sで風車回転数は922rpmであった。
今回の実証で使用した発電機は750rpm以上の回転数で発電を開始する設定で実施した。
また、風の体感に関するアンケート結果では
WINDAB設置中に風が弱くなったと体感した人が23.1〜30.8%おり
撤去後に風が強くなったと体感した人が11.5%いた。
設置時に風車が回転している音については、気にならなかった
、以前と変わらないと回答している人が42〜65%となり
体感についての一定の評価を行うことができた。
また、実用化を踏まえた強度検証ができたが、想定より風速が弱い(吹かない)状態で、狙った回転数/発電量のデータを十分に収集できなかった。
今後の展開として
製品改良や追加検証、業務連携を行っていく。
現在橋梁建設のゼネコン等への提案を検討、新たな実証プランは継続して検討していく。
Hatch Technology NAGOYA 2021での実証実験内容はこちら