実証事業者 株式会社センサーズ・アンド・ワークス
市担当部署 住宅都市局 ウォーカブル・景観推進室
Hatch Technology NAGOYA 課題提示型支援事業の実証について、実証の成果をまとめた記事になります。
1.プロジェクトの背景・課題
2020年9月「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律」が施行され、全国的にウォーカブルなまちづくりが進められるようになった。
名古屋市でも、空き店舗、公開空地、道路などの既存ストックを新たな魅力や価値を生み出す地域資源として活用し、回遊性やにぎわいを全面的に広げる取組を行っている。
しかし、客観的にウォーカブルなまちを評価するデータ、論拠が乏しく、市民、事業者などの関係者の共感を得づらい状況である。
2.社会実証の内容
名駅三丁目エリアに特許技術を活用した3種類のセンサーを設置し、人流や滞留、来場者の属性データを収集。ウォーカブルなまちづくりに必要な回遊性や賑わいを評価する指標を定義し、収集データの指標に基づく評価、要因分析を実施する。
3.検証結果・効果
名古屋市の名駅三丁目エリアのまちづくり検証空間「sanagi」で実施された地域の魅力発信イベントにおいて、特許技術を活用したセンサ群を設置し、人流や滞留データの収集と指標評価を行った。この実証は、ウォーカブルなまちづくりを推進するための空間評価手法としての有効性を検証することを目的としている。
実証にあたっては、関係者間でまちづくりの目的と目標を明確化し、イベントプランニングにおいて共感できる指標の策定と、指標を点数化するために必要な計測環境を設計・構築した。このプロセスは、イベント単位で完結する高速PDCAサイクルとして取り組んだ。
具体的には、まず「sanagi」を取り巻く環境の情報収集と、実施可能なイベントや施策について関係者を含めたブレーンストーミングを行い、目的・効果を伴う形でデータ整理を行った。
次に、実証期間中にターゲットとするイベントの内容と評価指標を定義したプランニングシートを作成し、指標算出に必要なセンサ設置計画を立案した。
最後に実イベントにてデータ収集を行い、得られたデータを指標に基づいて点数化し、予測との相違や評価結果に対する要因分析を実施した。
この実証試験を通じて、本手法がイベントの性質・成果を可視化するために必要な現場データを効率的に収集し分析することが可能とする、ウォーカブルなまちづくりに向けた新たなアプローチであることを明らかにできた。
4.今後の展望・課題
今回の検証で得られた人流等のデータは、賑わい創出を目的とするような取組みの評価を行う指標の1つにはなり得ると考えられる。
ウォーカブルな取組みについては、賑わい創出だけでなく、ベンチを設置し憩える空間を創出するような取組みもあり、必ずしも人流や滞留だけで評価できるものでないと考えている。
より多くの市民の方の共感を得てまちづくりを進める上では、賑わいだけでなく多様な側面からの評価が必要であるとともに、エリアの価値を高めるという視点も含めて、ウォーカブルなまちづくりを評価する指標について、引き続き検討する必要がある。
5.実証事業者について
株式会社 センサーズ・アンド・ワークス
代表取締役 堀江 聡
設立 2011年4月19日
本社所在地 兵庫県神戸市兵庫区和田山通1丁目2-25 神戸市ものづくり工場304 305