自治体DXがテーマのミートアップ
2024年2月15日(木)ナゴヤイノベーターズガレージにて、「フィールド活用型社会実証支援」Hatch MeetsのミートアップイベントHatch Meets UP!を開催しました。
第8回 Hatch Meets UP! では、自治体DXをテーマに名古屋市と東海エリアの自治体が集合!
自治体DXが取り沙汰される背景には、
- 「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定され、自治体には
- 行政サービスにデータやデジタル技術を活用し、住民の利便性を向上させること
- 業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの向上に繋げること
- デジタル化の取り組みを強化
- デジタル人材の育成
が求められており、各自治体がこれまで以上にデジタル化の取り組みを強化していることが挙げられます。
しかし自治体の中ではデジタル化を進める上で様々な課題があり、民間と違って導入すれば終わりというような容易に進められる状態にはありません。
自治体と企業はどのような連携が必要になるのか、よきDXパートナーとなるには何が必要なのか?自治体の事例を聞きながら自社でもこんなことができそう!自治体ニーズを把握することも出来るミートアップを行いました。
メンターには
晝田 浩一郎(ひるた こういちろう)さん
内閣府 地域活性化伝道師
㈱官民連携事業研究所 執行役員CCO
にご参加いただきました。
アジェンダ
14:00-14:10 イントロダクション
14:10-15:10 自治体DXの話
- 自治体DXとは何か? 市川博之さん
- 名古屋市 デジタル改革推進課
- 名古屋市DX推進方針の概要
- 今後の取り組み:生成AIの活用(今年度の取り組みについて)
- 浜松市 自治体DX
- 藤沢市 自治体DX(オンライン)
- 墨田区 自治体DX(オンライン)
- 東海総合通信局
- 地域課題の解決を図るため、必要な通信インフラとソリューションを一体で整備されている事例の紹介
- スマートシティの推進に関する支援施策(補助メニュー及び管内事例)のご紹介
- 岡崎市 自治体DX
15:10-15:20 自治体DXをしている企業のピッチ
15:20-15:50 ミートアップタイム
15:50-16:00 クロージング
自治体DXの話
自治体DXとは何か?
デジタル庁オープンデータ伝道師 市川博之さんよりお話をしました。
総務省より出された「自治体DX推進手順書」が更新され、自治体DXとしての重点的取り組み事項や、取り組むべきデジタル社会の実現に向けた取り組み、各団体において必要に応じて実施を検討するべき取り組みが記載された。
多くの自治体でも自治体DXの計画は出来ているが、民間視点が入っておらず単なる内部改革に留まっている自治体も存在する。
自治体DXには「地域DX」と「行政DX」の2種類があり、双方ともその価値が住民に届いているか、住民の価値向上や生活におけるサービスレベルを向上させているか、ドいった視点が必要となる。
また行政DXでは、行政内部の効率化、働き方改革を継続的に行われているが、サービスのありかたそのものを検討する段階にある。
Hatch Meetsも、地域全体で取り組んでいく際の地域側のコミュニティや課題解決への取り組みの姿勢、課題自身の把握や対話が大事なパーツとなってくる。
名古屋市 総務局デジタル改革推進室
名古屋市のDX推進方針と取り組み事例について紹介をしました。
1. 名古屋市役所DX推進方針
デジタルの活用を前提にあらゆる市民サービスや市役所の業務を変革し、市民一人一人により適した市民サービスを目指すために、市役所DXの方向性と具体的な取り組みを示したもの。
方針は8つ、
- 全体最適の視点に基づく見直し
- ユーザー視点によるサービスデザイン
- データ化・自動化によりデジタルでの完結
- 場所や手段を限定しないサービス提供・働き方
- 標準化・共通化によるサービス・業務の最適化
- 最新技術の活用によるサービス・業務の高度化
- 全組織、全職員一体でのDXへの取り組み
- アナログ規制の見直し
2. 取り組み事例
生成AIの活用に向けた環境整備
- 「生成AIの利用に関するガイドライン」を愛知県と名古屋市で共同策定。
- 今後は導入を進め、市役所業務の利活用を検討していく。
ノーコードローコードツールの活用
- 会議室の予約をFormBridgeとkintoneを連携して作成している。
浜松市 デジタル・スマートシティ推進室
「人に寄り添ったデジタル活用〜安全・安心、便利で快適な市民サービスの実現〜」を目指した浜松市のDX推進計画と具体的な取組を紹介しました。
浜松市の窓口状況は、
総合窓口制導入前は国保・年金・児童手当などを扱う窓口だったが、平成17年に政令指定都市となり、区再編が行われた。
現在は3つの区に分かれ、3つの区役所にパスポート窓口があり、年間の処理件数は証明書や届出書の受付は59か所で行われている。
窓口の課題としては
- 届出書の記入が難しく、総合窓口による対応が長時間かかり複雑化している。
- 窓口業務が「スーパーマン型」職員に依存しており、マニュアル整備や職員育成が課題とされている。
- 高齢者やITに不慣れな市民へのサポートが不足している。
などが上がっていた。
具体的な取り組み例として、
来庁者の要件を職員が聞き取りした情報を端末に入力、入力された情報をもとに必要な案内や申請書の作成支援などを行う「書かない窓口」の導入を行った。
かんたんで優しい手続き、来庁者を待たせない窓口を目指すことで
・窓口の一連の業務を最適化し対応時間を短縮
・来庁者の待ち時間を減らし、市民満足度を向上
・どんな職員でも一定の品質・スピードで業務遂行
を実現することができた。
藤沢市 デジタル推進室
藤沢市では「郷土愛あふれる藤沢」を目指し、行政デジタル化の最重点取り組み項目として・デジタルプラットフォームの構築を掲げており、その取り組みについて紹介しました。
これまでの仕事スタイルは人や書類がサイロ化した仕事を繋ぐ「タテ割り」状態で、届出書もチェック項目1つ1つを人の目で確認しており、システム間の連携は人と紙による運用でカバーされてきた。
職員数が減少する一方でニーズは多様化し、業務量が増え続ける中、従来の仕事スタイルは限界を迎えつつあり、「シンシヤクショプラットフォーム」開発を行うこととなった。
具体的には、インターネット業務領域に、市民向けポータルサイトや事業向けポータルサイトを設置し、共通機能としてマイページやお知らせ、決済相談予約などの汎用的な機能を共通化させ、「マイナンバー業務領域(税、福祉システム等)」「内部処理業務領域(財務会計や文書管理システム等)」とデータ連携させたプラットフォームを開発予定。
事例の1つに、
- 市民からの問い合わせに答えるコンタクトセンタープラットフォームが誕生した。
- Webチャット、パソコン、スマートフォン、電話などからくる市民の問い合わせを、コンタクトセンターのFAQデータベースとして登録し、よくある質問での自己解決やオペレーターがFAQを参照しながら回答を行う。
回答出来ない問い合わせは市役所の担当者にエスカレーションをし、担当職員もデータベースに回答入力を行うことで、評価の低いFAQや担当課別の対応時間なども分析することが可能となった。
墨田区 企画経営室
墨田区が取り組んできた様々な事例の紹介をしました。
- 高齢者のデジタル参加支援が不足しており、情報格差の解消が必要という課題に対し、高齢者がグループでの学習を通じて、デジタル技術を活用する方法を学び、実践的なサポートを受けることができる、みんチャレの実施。
- 自転車用ヘルメット助成金事業に対し、マイナンバーカードを用いて1度に3名までまとめて申請ができるスマートフォンを使った手続きの実施。
- 学童クラブの入室申し込みをかみで申請するものから、オンラインへの申請に100%の切り替えを実施。
- 学校と保護者の連絡手段が教職員との電話しかないという課題を、電話とWebから連絡・情報共有を可能にしたシステムを公立小中学校全校で実施。
- プロトタイプ実証事業を活用した区内企業による、IT未経験の町工場などに対するDX人材育成の取り組みの実施。
- 死亡に伴う手続きの専用窓口を設置し、市民でなく職員が窓口に入れ替わり現れるワンストップおくやみ窓口の実施。
- 税務課・国保年金課に対してのRPAの導入。
- 区内情報系大学と連携し、生成系AIの活用ワーキンググループの立ち上げ。
- Web会議用オンラインRoomの設置。
- 議会運営のペーパーレスの推進
- 庁内のDXを牽引する職員を育成する為の、DX人材育成研修。
などを実施しています。
【その他の事例】
- 電子申請の推進では、ICT部門が職員に対し、ローコードツールを使った業務改善のトレーニングを提供し、自らアプリを開発する機会を提供している。
- 地域企業・市民向けの啓発活動では、デジタル技術の普及を目指し、ワークショップやセミナーを開催して、参加者が実際に手を動かしながら学ぶ機会を提供している。
東海総合通信局
東海総合通信局が取り組む、地域の課題解決やサービス向上に向けたデータ連携基盤の構築や都市OSの導入強化について紹介しました。
現在の課題として、
- データ連携やICTインフラ整備の不十分さが挙げられてます。
この課題を解決するために、実証実験を通じて新たな技術やサービスの導入を支援しています。
具体的には、地域のデータ連携基盤の整備や都市OSの導入により、異なるデータソースからの情報を統合し、効果的な施策立案や課題解決を図っています。
また、実証実験においては、自治体や企業と連携しながら、新たな技術やサービスの導入や効果の検証をサポートしています。
この取り組みにより、地域全体のDXが促進され、市民や企業の生活やビジネス環境の向上につながることを期待しています。
今後も地域の課題解決やサービス向上に向けて、さらなる取り組みを進めていきます。
岡崎市 総合政策部
スマートシティを通じて街を元気にし、都市を再生する取り組みを紹介しました。
取り組みの方向性としては、
- 街中を人が歩くことを促進し、地方中核都市としての機能を強化することが挙げられます。
- これには、回遊支援やモビリティの促進など、幅広い取り組みが含まれます。
課題としては、
- 目的地間の車移動が主流であり、街中に人が歩かない状況が挙げられます。
これを解決するために、市民や企業の協力が必要です。
具体的な対策としては、
- スタートアップからの提案を受け入れ、実証事業を通じて施策を検証し、成果を出していくことが重要です。
また、データ活用にも積極的に取り組んでおり、リアルタイムの混雑情報や交通データを活用して、交通渋滞の緩和や街の賑わいの増加に取り組んでいます。
さらに、商店街の活性化や観光促進のために、データの分析や活用が行われています。
最後に、岡崎市では市民や企業からの提案やニーズにも積極的に耳を傾け、自治体同士の情報共有や連携を促進していくことで、より良いスマートシティの実現を目指しています。
企業ピッチ
ReinTech
RainTechが取り組む課題は「気候変動によって増加する自然災害」に対してです。
大規模な自然災害が発生する状況でも行動する人は少ない為、行動するに値する情報を作り、届ける新しいツールとして一人一人の行動創出に必要な要素を一気貫通でトータルにサポートできるサービスを開発しています。
現在展開しているのは、「パーソナル防災IoT」と「デジ防マップ」です。
「デジ防マップ」は、リアルタイムの危機データをマップ上で可視化・共有することができ、マップ利用者は自ら危険箇所などを投稿することが出来ます。
「パーソナル防災IoT」は危険箇所に雨量計や水位計などのIoTを設置し、デジ防マップに連携して可視化を行うことが出来ます。
ReinTechでは大切な人・物を失うことなく豊かな生活が持続できる世界を目指します。
以上、第8回 Hatch Meets UP! のご報告でした。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。