360度映像を使った遠隔”臨場”による公共工事業務効率化の実証【成果報告】

実証事業者 株式会社Nossa

市担当部署 緑政土木局 技術指導課

Hatch Technology NAGOYA 課題提示型支援事業の実証について、実証の成果をまとめた記事になります。

1.プロジェクトの背景・課題

 緑政土木局では市域のおよそ1/4の面積を占める公共土木施設(道路、公園、河川等)の建設、維持管理を行っている。これらの多くは高度経済成長期に集中的に建設され、急速に老朽化が進むことが想定されている。

 建設業界では、休日出勤や長時間労働などの過酷な労働環境の問題もあり、慢性的な人手不足の課題を抱えています。国も、罰則付き時間外労働の上限規制の建設業への適用や(2022年4月から)ドローンやデジタルツールを活用した業務改善などに取り組んでいますが、名古屋市の発注する建設工事においても、利用可能なデジタル技術を積極的に活用することで、合理化を図り、工事受発注双方にとってメリットのある仕組みを構築することが急務であると考えています。

 今回の社会実証では、これまで現場訪問し対面で行われていた建設工事における立会、材料確認、段階確認といった臨場の業務を、360°カメラを使った現場と監査員のコミュニケーションツールを使用して、現場に行かずに遠隔で実施できるか検証を行った。

2.社会実証の内容

 複数の現場で、主に以下3点を検証ポイント都とし、360度映像及びスマートフォン映像のリアルタイム配信機能を特徴とするNossa360システムを用いた遠隔臨場(材料確認、段階確認)を実施した。

有効性:多種多様な建設工事の現場で実際に活用できるか。遠隔臨場により、発注者が適切に段階確認や材料確認を行うことができるか。

効率性:発注者側の現場訪問回数を減らせるか。受注者側の待ち時間の削減など現場対応負荷が軽減するか。

満足度:現場の職員や工事事業者がスムーズに運用できるか、使い勝手が良いか。

3.検証結果・効果

 実証の成果として、以下の結果を得られた。

  • 有効性:遠隔臨場の品質に問題はなく、特に段階確認と材料確認については、広く業務をカバーできていることが分かった。
  • 効率性:発注者側の移動時間削減、受注者側の待ち時間短縮、スケジュール調整の容易化、中止時の影響低減に繋がることを確認できた。
  • 満足度:アンケートの結果、発注者・受注者とも高満足度(10点中8点)を得られた。

4.今後の展望・課題

①工事の入札契約から検査まで、全体の施工管理のあり方を変えていくこと。紙の書類や旧来の慣習がまだ残っているので、それを改善していくことが今後の目標。

 ②段階確認、材料確認、検査といった各フェーズに応じた確認の特徴を踏まえ、遠隔臨場のあり方を検討していくこと。実際にやってみた結果として課題が見えてきた。

③今回の取り組みにより、関係職員や幹部の理解が得られ、円滑に進められる素地ができたこと。また、名古屋市全体のDX推進計画の中で、インフラ分野のあり方改革を位置づけ、令和8年度までに生産性向上を目指すこと。令和6年度からは、市のDX推進方針にインフラ分野のDXを追加し、自然体で遠隔臨場の取り組みを推進していく。

5.実証事業者について

株式会社Nossa

代表取締役社長 福井 高志

設立 2019年3月1日

本店所在地 東京都渋谷区

https://www.nossa.co.jp/

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