地域活動をアップデート!デジタル技術を活用し、持続可能な地域コミュニティを実現したい!【DX】

スポーツ市民局地域振興課

要点

解決したい課題

地域コミュニティを持続可能なものとしていくために、負担の軽減や現役世代の参加を促進する必要があり、デジタル技術等を活用したい

実現したい未来

地域活動を行う市民のみなさまが、デジタル技術を活用し、効率的に活動でき活動の参加者も増加する

想定する実証検証

先端技術を活用した地域活動負担軽減や未来の地域コミュニティ活動につながるようなサービス・体験の実証

得られるもの

実証の結果を広く共有することで、多様な地域活動の担い手に訴求できる

ストーリー

地域活動をアップデート!デジタル技術を活用し、持続可能な地域コミュニティを実現したい!

地域活動のこと知っていますか?

 あなたは町内会や自治会が行っている地域活動のことをご存知でしょうか。地域の清掃活動や、小学校の登下校の見守り、災害に備えた避難訓練、盆踊りなどの交流行事などなど、様々な活動を行っています。

 これらの活動が、身近な公園が美しく保たれたり、子どもたちが安心・安全に暮らせるようになったりと、住みやすく魅力的なまちを支えているのです。また、こうした地域のつながりがあるところほど、災害時に地域による救助が進み、復興が早かったとも言われています。安心して暮らしやすいまちづくりには、地域活動が欠かせないものだと考えています。

地域活動を維持できなくなる。

 しかしながら、今、こうした地域活動を継続することが難しくなっています。活動を担う人材が不足しているためです。

 令和3年度に行った市政アンケートでは、「ここ3年間で、お住まいの地域の地域活動に参加しましたか」という設問に対して、参加していない又はほとんど参加していないと答えた人が59.4%となり、参加したと答えた24.1%を大きく上回る結果になりました。

 これらの参加していない方に理由を聞くと、「仕事や家庭の都合がつかないから」が最も多くなっています。

直近3年の地域活動への参加

 また、令和元年度に地域活動に携わる方々に行ったアンケートでは、66.8%の方が「活動の担い手不足」「参加者の減少・固定化」といった、人材の不足や役員の固定化に悩んでいると答えています。

地域活動を行う上での困りごと

 さらに、地域活動を支えるうえで重要な町内会や自治会の加入率は、平成22年度の80.8%から令和2年度には69.7%まで低下しています。活動の担い手となる人材の不足と活動の主体となる組織の力が低下していることが、活動の維持の大きな課題となっています。

町内会等の加入率

国の動向

 こうした現状・課題があるなか、総務省では「地域コミュニティに関する研究会報告書」を公表し、解決に向けて3つの視点、「地域活動のデジタル化」「自治会等の活動の持続可能性の向上」「地域コミュニティの様々な主体間の連携」を示しています。

 特に地域活動のデジタル化については、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、接触を減らすオンライン会議を実施したいですとか、回覧板を電子化してスマートフォンで見られるようにしていきたいといった声が良く聞かれるようになりました。これらの取り組みは、例えば、これまでの紙の回覧板をデジタル化して個人のスマートフォンから見られるようにすることは、地域活動の負担軽減と効率化にも繋がります。地域活動のデジタル化は地域団体の支援策として名古屋市でも注目しているところです。

デジタル化に向けた名古屋市の取り組み

 当課においても、昨年度、いくつかの地域団体にタブレットの貸出を行い、オンライン会議や電子回覧板の導入を進めてもらう事業を実施しました。しかし、タブレットの活用には今まで操作をしたいことのない方には難しい面もあり、利用する方に丁寧にレクチャーする人材や仕組みのほか、利用に対する意欲の高まりが不足していた面もありました。具体的には、1団体につき4台のタブレットを14団体に貸し出しましたが、オンライン会議で全台を使用する等フルに活用していた学区は少なく、時々ネット検索やLINEで1,2台タブレットを使用し、残りは使われずに置いているというような状態が見受けられました。

 一方、初めから利用に意欲的な団体もあり、団体内のICTリーダー等が出向いてZoomの操作方法をレクチャーした結果、新しい技術を知れたことを喜び、自分達のような高齢者がデジタル技術を活用することができたということに感動されていました。

 スマートフォンやタブレットを整備していくのではなく、デジタル技術を活用することの楽しさや面白さ、活用により地域活動が便利になる、という実感を提供することにより、デジタル活用への地域における意欲を高めることを進めていくことが、地域活動へデジタル技術を活用していくうえで重要なのだと感じています。

デジタル技術が利用できない理由

 地域活動に携わっていただいている方は、年齢層が高い傾向にあります。地域活動のデジタル化に取り組みたいと考えているところですが、一方で、デジタル化したツールを利用できるかどうかが大きな問題になっています。

 70歳以上の方からは、「自分の生活には必要ないと思っているから」や「どのように使えばよいかわからないから」(総務省が発行する情報通信白書より)と言った声が多いのが現状です。

 ただ、こうした方々にメリットを伝えたり、必要性を訴えたりすることで、無理やり使ってもらうことが良いとは考えていません。むしろ、面白そうだから参加するや、見たいから触れるといった形や、誰か周囲のデジタルが得意な人と一緒にデジタルに触れるといった形に変えていく必要があるのではないかと思っています。

地域の未来のために、新しい地域活動をデザインしたい

 住みやすく魅力的なまちであり続けるためには、地域のみなさまが行う地域活動を継続していく必要があり、そのためにはデジタル技術の活用が欠かせません。一方で地域活動の主体である高齢の方には、デジタル技術に関心がなかったり、使い方が分からなかったりと苦手意識を持つ方が多くいらっしゃいます。

 こうしたデジタル技術への苦手意識を持つ高齢の方をうまく巻き込み、デジタル技術の恩恵を受けられるようなサービスや体験を一緒に設計しませんか?

 UI・UXが設計されたサービスが必要と考えています。高齢者でも簡単に見れて、すぐに識別できるフォントの大きさ、わかりやすい表現のUIと、単なる会議体でもXR技術を活用して時間や場所を超えて会合を行うことで面白く感じる魅力的なデジタル体験や、今まで数時間かかっていた業務が一瞬で解決できるようなデジタル体験を提供するUXが、地域コミュニティ維持の第一歩だと私たちは考えています。先進技術を活用したデジタル体験を通じて、地域活動がもっと楽しく、そしてもっと楽に続けられるような、そんな提案をお待ちしております。

募集要項

背景 住みやすく魅力ある地域を作るためには、そこに暮らす住民たちが地域活動として、お祭りなどの交流事業や交通安全・防犯・防災に関する活動に取り組むことが欠かせません。
しかし、地域活動の運営は負荷が高かったり、組織が硬直化していったりする中で、地域活動に参加したいと思う人が減ってきているのが現状です。そうした新しい担い手が入ってこない中で、既存の地域活動の担い手は、高齢化が進み、これまで運営出来たものも維持できなくなってきている状況です。
市としては、少しでも地域活動の運営負担を減らすため、デジタル技術の導入を進めようと考えていますが、新しい技術に前向きな方ばかりではありません。
課題(詳細) 名古屋市でも令和3年度に、地域団体へのタブレットの貸し出しを行い、オンライン会議や電子回覧板の導入を進める事業を実施しましたが、タブレットの活用には今まで操作をしたいことのない方には難しい面もあり、利用する方に丁寧にレクチャーする人材や仕組みのほか、利用に対する意欲の高まりが不足していた面もありました。
地域活動の担い手が不足している中で、活動を維持していくためには、デジタル技術を活用した効率化が欠かせませんが、こうした新しい技術を積極的に取り入れるためのきっかけが不足しています。
求める解決策
  • 地域活動の負担軽減ツールの実証
    デジタル技術に触れる機会が少ない高齢の方でも使用しやすく、地域活動の負担軽減につながるようなサービス、システムの実証
  • 高齢者でも楽しめるデジタルツール・体験の実証
    デジタル技術に抵抗感や苦手意識を持つ高齢の方にも、デジタル技術の便利さや面白さを体感できるツールやサービスの体験
  • デジタル技術を使った新しい地域活動の実証
    メタバースやXRなど先端技術を使用した地域活動の再デザイン
実証実験成功後の発展性 実証が成功すれば、実証小学校区以外への展開、機能拡張や通年での活動支援などを想定している。
想定する実証実験内容 一部の小学校区を対象に開発したツールを利用していただき、地域活動やデジタル技術への意識の変化を検証する。 メインターゲットは、65歳以上とするが、副次的に若い世代への地域活動の関心が高まることも期待する。
提案企業に求める専門性 デジタル技術に触れる機会が全くない市民であっても、負担なく使用することができること
プロジェクトの進め方打合せ方法 オンライン会議等対応可能
提供可能なデータ・環境等
  • 名古屋市全域267小学校区の地域活動の情報
  • 地域活動の実施者の紹介
  • 地域団体の会議等の開催情報
  • 区役所・コミュニティセンター等の施設
プログラム終了後の本格導入 実証実験を踏まえ、規模を拡大したモデル実施の予算要求を検討