町内会・自治会に加入するメリット?デメリット?
最近、「町内会のメリットってある?ないなら抜けようかな。」といった話を耳にします。実際はどうなのでしょうか?
「仕事が忙しく、朝早く出て、夜遅く帰る生活。地域は寝に帰る場所で、地域活動をする時間はない。」でも、夜道を安全に歩けるのは、防犯灯があるからです。防犯灯は、町内会・自治会が設置・管理し、電気代を支払っています。
「休日は子どもの習い事や用事で、地域活動をする余裕はない。」でも、お子さんと遊びに行く近所の公園にごみや雑草がないのは、町内会・自治会(または公園愛護会)が定期的に清掃してくれているからです。
「災害が起こったら、町内会・自治会に入ってなくても、行政が助けてくれるから大丈夫でしょ。」でも、避難所は発災時の“臨時の家”ですので、日頃の生活の場である“家”の運営は地域の皆さんで行なっていただく必要があります。防災備蓄品を独自に備えている地域もあります。避難所運営を地域の方が中心に行なっていただくことで、行政職員は市全体の復旧復興に向けた業務に専念することができるのです。
普段の生活の中でなかなか意識することはないかもしれませんが、町内会・自治会の誰かが地域のためにしてくれている恩恵を、私たちは知らず知らずのうちに享受しています。
どうすれば地域に関われるだろうか?
一方で、現在の地域活動のやり方では、なかなか参加することができないという声もあります。確かに、単身世帯や女性・高齢者雇用の増加などライフスタイルの変化が、地域に関わる機会や時間の減少に影響している可能性が指摘されています。
以前は、家族(世帯)の中で、専業主婦や祖父母など昼間の時間帯に活動できる方が地域活動を担うことができましたが、単身世帯や共働き世帯では地域への参加が難しくなっています。また、多くの方は60歳で定年退職を迎えて地域活動デビューをしていましたが、再雇用や定年延長によって地域活動デビューの年齢が引き上げられています。
それでは、社会が大きく変化する中、町内会・自治会をはじめとした地域活動を持続可能なものとし、地域の課題解決を図っていくためには、どのようにすればいいのでしょうか。
これまでの名古屋市の取り組みと課題
名古屋市では、市政アンケートや地域団体へのヒアリングなど、地域活動に取り組んでいらっしゃる方々の意見を伺い、施策に反映してきました。特に、町内会・自治会はじめ地域団体の負担軽減と担い手不足について対策を求める声が多く、行政からの配布物を削減したり、ICTの活用を推進したり、企業・NPO・大学などと地域団体の連携を促進するといった事業に取り組んできました。
一方で、地域活動に参加していない方がどのような考えを持たれているか、どのようにすれば参加することができるのか、など把握することができずにいました。地域活動に関心がない人や参加したいけどためらっている人などの声を広く集め、そのような人たちの地域への関わりを増やすための仕組みづくりが必要であると考えています。この場合の「地域」は、町内会・自治会の活動だけではなく、何か地域のために活動するという意味も含みます。
なぜ今なのか?
名古屋市の町内会・自治会の加入率は10年間で10.7%減少し、現在は68.7%です。町内会・自治会の加入率の低下傾向は全国共通です。いま取り組みを始めないと、町内会・自治会がますます弱体化し、防災や高齢化、子どもの見守りなど、増加する地域社会のニーズに対して十分応えられなくなってしまいます。
また、伝統的な町内会・自治会の活動を超えて、地域課題の解決に向けた活動を行っている組織(コミュニティ協議会や地域運営組織)は、町内会・自治会の活動や組織を土台として形成されている場合が多いとされており、新しい枠組みでの地域活動も難しくなることが予想されます。
最後に、あらためて今回の実証で取り組みたいポイントをまとめておきます。
- 地域活動に参加していない方がどのような考えを持たれているかを把握し、分かりやすい形でまとめる(視覚化)
- そのような人たちの地域への関わりを増やすための仕組みづくり
企業の皆さんもどこかの地域の住民です。当事者として、ぜひ一緒に取り組んでみませんか?