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毎年130万人の来館者をお迎えする、全国有数の科学館
名古屋市科学館は昭和37(1962)年開館、平成23年3月の天文館・理工館リニューアル、その直後平成23年度の来館者数が約150万人と、それまでの来館者数の約2倍を記録、以降も130万人前後を維持し、政令指定都市の運営する科学館の中では最も多くのお客様を迎えています。
コロナ禍により一時的に来館者数は激減しましたが、徐々に復活のきざしを見せ、令和5年度には、発券システムの再構築に伴い約1か月の休館があったにも関わらず、来館者数が約118万人と、ほぼコロナ前の状況に戻ってきています。
昨今の来館者の変化
来館者数の復活とともに「外国人の来館が最近多いね」という声が最近職員間でも目立つようになりました。特に来館者の少ない平日には、相対的に外国人の方が多いのではという印象すら受けるようになりました。そこで、令和6年5月に、受付時のカウントによる初の外国人来館者調査を実施したところ、約1割を超える来館者の方が外国人の方であろうという結果を得ました。
一方で、科学館の現状は
本課題の担当者自身も海外旅行が好きで、「せっかく行くからには楽しみたいし、学べることは学びたい」という思いのもと、海外旅行時に出掛け、実体験としてわかりやすい多言語対応のガイドやサインに助けられました。それに対して、科学館では、8か国語対応の館内ガイドや、5か国語対応のチケット販売サイトがある一方、展示品自体の案内はHPに掲載された英語のテキストのみ。利用していたマルチリンガルガイドサービスもありましたが、運用サポート終了に伴い、令和6年6月には撤去されてしまいました。サイエンスステージを始め、実演・実験も館内では多く実施していますが、こちらは日本語のみなので、外国人の方が聞いていても理解できず、ほんの数分で去ってしまう、という現状です。
科学館の展示は「みて、ふれて、たしかめて」というコンセプトが示すとおり、触ってみたり、目で見て耳で聴いて感じる体験型展示が非常に多く、そのような要素に適切に対応した多言語案内を行うことができていないのが現状です。
外国人来館者の満足度は?
当科学館では、毎年2回来館者アンケートを実施していますが、日本語のアンケートしか用意していないため、外国人の方の回答は皆無です。館内を巡回して外国人の方の様子を見ていると、それなりに楽しんでいるようには見受けられますが、先日ご来場いただいた外国人の方より 「You can’t read or learn about anything in this museam if you are unable to read Kanji.(漢字が読めなければこのミュージアムでは何も学べない)」というご意見もいただきました。
日本人だけでなく、どのような国籍・言語のお客様方が来ても平等に科学館を体験し、学んでもらえる施設にすることで、より多くの方々を国内外からお迎えしたいと感じたのが本課題を提言したきっかけです。
分け隔てなく、どのような方にも。それが科学館の使命
日本政府観光局の発表する訪日外客数の統計によれば、すでに日本を訪れる外国人数はコロナ前を超えつつあるというデータが出ており、観光関係者も、インバウンド需要はまだまだ続くものと予測しています。また名古屋市在住の外国人市民も増加傾向です。
このような状況においては「外国人だから」「言葉の壁があるから」という理由で、科学館のそもそもの設置目的である「近代科学の知識の普及啓発」を十分に果たしえないということは、本来の公的施設の主旨から、あってはならないと考えます。
グローバル化への想い
令和6年3月に策定されたコンパスぷらん(第4期名古屋市教育振興基本計画)において、名古屋市科学館に関する説明の中で、「最新の科学に対応した魅力的な展示・普及啓発を行うため、多言語対応をはじめグローバルな視点のもと、・・」と明記しました。これは、まさに今の状況を踏まえ、今後の科学館の向かう先を示した、象徴的な表現だと考えます。
この精神の下、科学館に来館されるすべての方々が等しく近代科学に関する理解を得るとともに、「みて、ふれて、たしかめて」いただき、「来て良かった」「次も来たいな」と思ってもらえることのできる、科学館の未来に向けて、パートナーとしてともにチャレンジいただける企業をお待ちしています!