メンタルヘルス不調による休職者数が増加傾向に
私たち安全衛生課は、職員が最大限のパフォーマンスを発揮し市民サービスの維持・向上に取り組めるよう、職員の心とからだの健康管理及び保健指導を行っています。
近年、経済・産業構造が変化する中で、仕事や職業生活でストレスを感じている労働者の割合が高くなっています。地方公務員においても、市民ニーズや業務内容の多様化・複雑化に伴い、職員の精神的負担やストレスは増大しており、心の健康が脅かされている状況です。
「地方公務員健康状況等の現況(令和4年度)」(地方公務員安全衛生推進協会)の長期病休者(疾病等により休業30日以上又は1か月以上の療養者)の状況に関する調査結果によると、「精神及び行動の障害」による長期病休者数(10万人率)は増加が著しく、10年前の約1.8倍、15年前の約2.1倍になっています。
名古屋市も全国の傾向と同様に、メンタルヘルス不調による休職者数は増加傾向にあります。このまま増加の一途をたどることとなれば、市政の運営にもますます大きな影響が出ることが予想されるため、効果的な対策を講じる必要があります。
心の健康に対するアプローチ
こうした状況を受け、私たち安全衛生課では、2024年に「職員のこころいきいきプラン~名古屋市職員心の健康づくり推進計画~」を刷新し、セルフケア推進の充実やストレスチェックの実施、快適な職場環境づくりの推進等を行っています。
メンタルヘルスの対策においては、「4つのケア」(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)を効果的に推進し、心の健康の保持増進とメンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)、メンタルヘルス不調への気づきと対応(二次予防)及び職場復帰と再発防止(三次予防)が円滑に行われるようにする必要があります。
本市では、ラインによるケアや産業保健スタッフによるケアはすでに多くの施策を実施していることから、今後、さらに対策を強化するため、セルフケアによる一次予防に重点を置き、研修の機会にセルフケアの重要性を周知したり、庁内放送等を通じてセルフケアの実践を促したりしています。
ほかにも、他都市の事例を参考にしたり、厚生労働省や総務省と情報共有しながら、様々な取り組みを行っています。その結果、若手の休職者数はやや落ち着いてきたものの、全体のメンタルヘルス不調による休職者数は平成30年度から右肩上がりに増え続けており、取り組みの効果が結果につながっていないのが現状です。
セルフケアの実践につながるきっかけをつくりたい
一次予防においては、日頃から職員一人ひとりが「自分の健康は自分で守る」という意識を持ち、メンタルヘルス不調を引き起こす前に、職員自身が自らのストレスに気づき、未然に対処すること(セルフケア)が非常に重要です。
しかし、「自分がメンタルヘルス不調になるわけがない」「身体はいたって健康だから大丈夫だろう」という思い込みから、自身のストレスが知らず知らずのうちに溜まっていることに気づかない場合もあります。不調になる前に安全衛生課の相談事業や医療機関の受診につなげることができないまま、休職に入ってしまうケースもあります。
自発的なセルフケアの実践には、自身のストレス状況に気づき、「自分にはセルフケアが必要である」との自覚を持ってもらうことが必要です。もし、体重計で体重を測った結果、以前より増量していたら、食生活や運動習慣を見直す人は多いのではないでしょうか。
そこで、今回は新たな取り組みとして、先進技術などを活用し、職員が自身のストレスに自ら気づき、早期ケアにつながる仕組みを作りたいと考えています。
たとえば、
- ストレスを客観的に把握するツールを提供いただき、安全衛生課の主催する研修の機会等で、職員にストレス状況を計測してもらう。
- 計測結果を職員本人に提供し、セルフケアに対する意識の変化についてアンケートを用いて定性的に効果検証する。
といった実証実験を想定しています。他にも有効な手法があればぜひご提案ください。
職員が健康でいきいきと働く職場を目指して
職員は市政を進めていく上で貴重な人的資源です。市民サービスの維持・向上のために、職員の健康保持・増進は欠かせません。
私達はメンタルヘルス不調による休職者数を一人でも減らしたいという情熱を持って、できることは地道に取り組んできました。しかし、なかなか結果に結びつかない現状にあります。今、私たちにない視点や技術で課題を解決していただける企業のみなさまの力が必要です。
想定する実証実験とは全く違う角度から、課題の解決方法をご提案いただくことも大歓迎です。職員が健康でいきいきと働く職場を目指して、一緒に取り組んでいただける企業のご応募お待ちしております。