中部電力パワーグリッド株式会社×中部精機株式会社×株式会社アビヅ
成果報告レポート
1. プロジェクトの背景・課題
本プロジェクトは、送電線工事や建物解体現場などで発生する重労働・非効率な運搬作業に対し、ドローンを活用することで効率化と負荷軽減を図ることを目的としています。中部電力パワーグリッドでは、これまで山地の送電線の工事資材や塗料を人力で運搬しており、作業員への負担が大きいことが課題とされてきました。
また、今回実証フィールドを提供いただき協働させていただいた株式会社アビヅでは、建物解体前の産業廃棄物やスクラップを、電気が止まってエレベーターが使えない状態の建物内から手作業で搬出しており、その非効率さとCO₂排出への懸念も課題となっていました。これらの共通課題に対し、ドローンによる運搬の可能性を探ることが本プロジェクトの出発点です。
2. 社会実証の内容
2024年12月22日にアビヅ社の工場内で、中部電力PGおよびそのグループ会社である中部精機は実証を行いました。使用した機体は、DJI製の運搬ドローン「FlyCart 30」で、30~40kg程度の物資の運搬が可能な機体です。 今回の実証では、実際の建物や設備の制約条件(天井の高さ、搬出入スペースの確保、運搬物の形状、GPS環境など)も踏まえて、運用上の課題も同時に検討しながら、工場内で実際の廃棄物の運搬を試みました。

3. 検証結果・効果
実証の結果、一定の重量物をドローンで安全に搬出できることが確認され、従来の人力作業に比べて作業負担を大幅に軽減できる可能性が示されました。特に、エレベーターが使用できない状況や人員を多く割けない場面において、ドローン運搬は有効な手段となり得ることを実感しました。
さらに、トラックによる収集運搬を減らすことでCO₂排出削減にもつながると考えられ、環境負荷低減の観点からも高いポテンシャルがあると評価されました。

4. 今後の展望・課題
今後は、運搬対象の多様化や搬出入ルートの確保、安全性確保のための飛行管理、GPSが入りにくい建屋内での運用技術の確立など、より実践的な課題への対応が必要です。また、自治体との連携や規制との整合性を踏まえた実装の可能性も検討していく必要があります。
中部電力PGとしては、送電線の点検や工事現場で培ったドローン技術を土台に、他分野での応用展開を視野に入れ、建設・解体・産廃業界など他業種との連携を深めながら、ドローン活用の幅を広げていく方針です。
5. 実証事業者について
事業者:中部電力パワーグリッド株式会社
代表者:清水 隆一
住所:〒461-8680 名古屋市東区東新町1番地
URL:https://powergrid.chuden.co.jp/
事業者:中部精機株式会社
代表者:小道 浩也
住所:愛知県春日井市気噴町3丁目5番地1
URL:https://www.chubuseiki.co.jp/
フィールド提供者:株式会社アビヅ
代表者:瀬田 大
住所:〒455-0026 愛知県名古屋市港区昭和町14-24
URL:https://www.arbiz.co.jp/about/