
名古屋市スポーツ市民局地域振興課は、地域活動をより活性化させるため、住民の声を収集・分析する実証実験を進めています。この取り組みに賛同したのが、株式会社はこぶん(東京都中央区)です。同社が提供するデジタルレター「ホンネPOST」を活用し、住民の意見を収集。さらに、AIを用いた感情分析によって、地域活動の課題を可視化します。
(株)はこぶんは、Microsoft AI Co-Innovation Lab KobeのSprint開発支援を受け、「感情分析AI」を開発しました。このAIは、大量の顧客の声データを分類・分析し、埋もれていたニーズや課題を明らかにします。これまでは人の手で行っていた作業をAIで処理することで、意見の傾向をより迅速かつわかりやすく把握できるのが大きな特長です。
従来、住民からの意見は市の担当者が一つひとつ確認し、手作業で分類・集計していました。しかし、今回の実証実験ではAIが意見の要点を抽出し、満足や好印象を表すもの、不満に感じている点や改善要望を伝えているもの、といった観点で分類。投票数に基づいて分析結果が整理されるため、どのような課題に多くの意見が寄せられているかが一目でわかるようになりました。

また、分類結果と人間の認識にズレがある場合は、AIのプロンプトを調整し、判定の精度を向上させています。これまで膨大な時間を要していた意見の集計作業をAIが担うことで、担当者は住民との対話や施策の検討といった本質的な業務に集中できるようになります。
1月17日には関係者が集まり、中間検証を実施。前日16日までに得られた827件の回答について、分類項目の設定や、分析結果をどう活かすかなどについて議論を交わしました。2月に行われた分析結果の市民へのフィードバックに向け、具体的な内容を調整しました。