
1. プロジェクト概要
本プロジェクトでは、送電線工事で実績のある大型ドローンを活用し、廃棄物やスクラップの運搬における新たな可能性を探ります。特に、従来のトラック輸送では非効率となる少量の廃棄物回収や、停電時の建物内垂直運搬などの課題解決を目指します。
2. プロジェクトの目的
産業廃棄物の収集運搬において、近年の運転手不足や環境負荷低減の要請から、新たな運搬手段の確立が求められています。特に、少量の廃棄物を回収する場合、チャーター便での対応は大きなコスト負担となり、また撤去予定の建物内での運搬作業は、通電が止まった状態では人力での作業を強いられ、作業効率と安全性の面で課題があります。
本プロジェクトでは、これらの課題に対してドローン技術による解決を試みます。送電線工事での物資輸送で実績のある大型ドローンのノウハウを活かし、廃棄物運搬という新たな用途への展開可能性を検証します。将来的には、廃棄物に限らず多様な物資をドローンで運搬できる新しいビジネスモデルの確立を目指しています。
3. 実証プロジェクト詳細
本実証実験は2024年10月から2025年2月にかけて実施します。実験は株式会社アビヅの工場を舞台に、まず運搬に必要なスペースの検討や飛行経路の確認から始めます。実証では、水平方向の移動(距離100m)と垂直方向の移動(1階から2階への運搬)の両方のケースについて検証を行います。
実験では様々な種類の廃棄物を対象とし、それぞれの重量や形状に応じた最適な運搬方法を検討します。プラスチック廃棄物だけでなく、今後の運搬需要が見込まれる多様な廃棄物についても実証を行い、運搬可能な物品の条件(寸法、重量、形状など)を明確化します。
各実証実験では、既存の運搬方法と比較したコスト分析も実施し、ドローン運搬の経済的な実現可能性を検証します。また、実証を通じて明らかになった技術的な課題や運用上の注意点を整理し、実用化に向けたロードマップを作成します。このプロジェクトを通じて、環境負荷が少なく、効率的な新しい運搬手段の確立を目指します。