水循環とは?
雲から地上に降った雨や雪は、地面に浸みこんで地下水や湧き水になったり、川に注ぎ込んだりして、やがて海に流れ込んでいきます。海に流れ込んだ水は太陽からの熱で蒸発し、また雲になり雨や雪を降らせます。このように、水が姿を変えてぐるぐるとめぐることを水循環といいます。
水循環の代表的な機能として下記のものが挙げられます。
- 降った雨が一度地中に浸みこんだり、地表のくぼみなどに蓄えられたりすることにより、河川の氾濫などの水害を起こりにくくする。
- 浸みこんだ雨が地中をゆっくり流れやがてきれいな湧き水となることで、雨がしばらく降らなくても河川やため池、湿地の水量が保たれる。
- 水面や緑などから水が蒸発する時、気化熱によってヒートアイランド現象を抑える。
水循環機能が損なわれ、洪水や地盤沈下、ヒートアイランド現象の原因に
昔に比べ、市街地が大幅に拡大し、森林や湿地、田畑だったところに建物が建ったり、舗装道路ができたりしています。私たちの生活は便利になりましたが、水循環の面からみると、雨が浸みこみにくく蒸発散しにくい地表面が拡がることになりました。
水循環機能が損なわれると、緑や水辺が減り、生物多様性の喪失や地球温暖化、ヒートアイランド現象の助長など都市が抱える様々な問題につながっていきます。
「水の環(わ)復活2050なごや戦略」を策定するも、水循環の認知度は目標を達成できず
名古屋市では、都市化に伴い健全な水循環が損なわれている状況を受け、2009年に「水の環復活2050なごや戦略」を策定しました。この戦略では「①水循環機能の回復」、「②人にも生き物にもやさしい水辺や緑があるまちづくり」、「③みんなで取り組む人づくり、場づくり」を行うことで、豊かな水の環がささえる『環境都市なごや』の実現を目指しています。また 2014年には国が「水循環基本法」を制定し、全国的にも水循環に関する施策の強化が求められるようになりました。
「水の環復活2050なごや戦略」は2009年から2050年を3つの期間に分け、それぞれの機関における取り組みの進捗状況に応じた実行計画を策定しています。そのうち2012年から2025年が対象となる第2期実行計画では、「多くの市民・事業者が水循環の問題について理解し、水の環復活を意識した行動を実践する」が目標となっています。
ところが2023年度に行った環境政策アンケートでは、「水循環」という言葉も意味も知っていた人は約44%でした。2012年度に比べ認知度は向上していますが、目標には到達していません。
「水循環」を実践、体験するハードルの高さが課題
洪水や地盤沈下、ヒートアイランド現象といった環境問題から名古屋市を守るには、市民一人ひとりが水循環の仕組みや重要性を理解し、身近なところから水循環機能の回復に向け取り組んでいくことが大切だと考えています。
そのため私たち地域環境対策課では、市内で完結する山崎川の湧き水に関するPR動画や、豊かな湿地を有する猪高緑地などをSNS(X、まるはっちゅ~ぶ等)や小中学生向けの出前講座、市民向けのなごや環境大学共育講座等を通して発信しています。
おかげさまでXに投稿した動画の再生回数は公開から1か月で約5,000件と一定の反応はいただいていますが、それを水循環の認知度向上および市民の水循環を回復する行動には繋げられていないのが現状です。
その他の動画 https://www.city.nagoya.jp/dogakan/category/300-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html
また発信以外にも、エコパルなごや(名古屋市環境学習センター)で水循環に関するバーチャル映像を上映したり、鶴舞中央図書館内に湧き水スポット「つるのめぐみ」を整備したりと市民が水循環に触れる機会を創造しています。しかし、このどれもが市民自ら足を運んで体験する必要があり、水循環に触れるハードルの高さが問題だと感じています。
これまでとは違ったアプローチで、「水循環」の認知度を上げていきたい!
多くの市民に水循環への興味を持ってもらい、水循環を回復する行動の促進を図りたいと考えています。
例えば、学校への出前授業や市主催の各種イベントで使用できる体験学習ツールや先進技術を活用した広報コンテンツを使って人々のアクションにつなげるツール等、私たちの考えつかないような新たな提案があれば積極的にお願いしたいと思います。
都市部でありながら、豊かな水循環が育まれる名古屋を目指して一緒に考えていただける企業の皆様からのご提案をお待ちしています!