実証事業者 Open Space Labs Japan合同会社
市担当部署 古屋市住宅都市局営繕部企画保全課・監理指導室
Hatch Technology NAGOYA 課題提示型支援事業の実証について、実証の成果をまとめた記事になります。
1.プロジェクトの背景・課題
名古屋市が保有する約2,700の公共施設のうち約半数では、築年数40年以上経過し、老朽化が進んでいる。それらの施設を維持管理していくため、市の職員が現地調査を行い、施設の改修に必要な金額の算出等を行っているが、膨大な時間と作業量がかかっている。今後も改修を要する施設は増えていくことが見込まれており、現地調査に伴う業務の効率化が求められている。
背景
- 施設の老朽化
- 業務量の増加
- 業務の効率化
課題
- 写真の撮影枚数が多い
- 記録整理の手間
- 撮影漏れによる手間
2.社会実証の内容
今回の実証では、360度カメラとAIを用いた画像処理システムを用いることで、現地調査に伴う業務時間の削減に寄与するかを検証する。また、現地調査を実施した職員からのアンケート回答を通じて、業務時間の削減の測定を行い、負荷軽減や改善要望などのフィードバックをもらうことでシステムを評価する。
3.検証結果・効果
- 撮影忘れや撮影位置の特定ミスがなくなり、写真の整理作業が大幅に削減。
- 現地調査に要する時間が全体で30%程度短縮された。
- 屋根付き空間でもGPS等を使わずに撮影位置を特定できることを確認。
- 過去の画像を簡単に参照できるため、再調査の必要性が減少。
No | 検証ポイント | 結果 | 評価 | 課題 |
1 | 現地調査業務にかかる全体の時間を20%削減できるか。 | 現地調査業務にかかる全体の時間を約30%削減。 | 撮影漏れの防止が期待でき、現地調査業務にかかる全体の時間は削減できる。 | 慣れるまでは事前準備等に時間がかかる可能性がある。 |
2 | 建物種別によって作業効率の向上度合いに差があるか。 | 同じような部屋や、広い空間のある建物でも対応することができる。 | 様々な建物種別でも対応可能。 | 天井が高い場合、対象がカメラから遠いため画像を拡大すると画質が荒くなる。機器の性能に依存してしまう。 |
3 | 職員のストレスを緩和できるか。 | 導入時負担大。(慣れれば負担軽減) | 機器及びアプリケーションの操作に慣れが必要。 | ・一人では作業が難しいという意見もある。・撮影方法や機器操作の困難さ等、ストレス軽減に個人差がある。 |
4 | 現地調査の記録を計画業務に活用できるか。 | 現地で感じた所見等を後で写真とともに確認しやすい、写真整理が煩雑な施設にフィットする等の意見があった。 | 計画業務に活用できる。 | 写真のみで対応可能な小規模な改修等にはOpenSpace Captureを使う必要がない。 |
4.今後の展望・課題
市としてすぐに予算化して導入するためには課題も多く難しいが、今後の導入に向けて検討を進めていきたい。
【活用のイメージ】
- 改修工事の予算見積りに伴う現地調査に、本システムの活用
- 設計の現地調査や打合せ、職員の技術研修に活用
360度カメラを購入して現地調査で実際に使用し、活用手法を検証していきたい。
5.実証事業者について
Open Space Labs Japan合同会社
職務執行者 島谷 俊太郎
設立2022年10月
本社所在地 東京都中央区