2022年PJ報告No8.市民意見をオンラインワークショップで集めて構造化・見える化する合意形成支援技術を試すPJ

実証事業者 名古屋工業大学
フィールド提供者 スポーツ市民局地域振興課

実証実験の目標とゴール

ワークショップで市民の意見を構造化・見える化する合意形成支援技術を検証するプロジェクトです。
口語による発言を適切に言い換え・要約して自動構造化するシステムを開発し、議論参加者の問題背景への理解度や当事者意識を向上させ、根拠が示された建設的な意見を増加させることを目指します。
長期的ゴールは、議論参加者による問題背景への理解度を向上させ、議論参加者の当事者意識を高め、根拠が示された建設的な意見を増加させることです。
短期的には、口語による発言を適切に要約・言い換えし、自動構造化するシステムを開発し、対面の議論を支援することを目指します。

実証実験の概要

GPT-3の事前学習モデルを再学習し、口語による発言の要約・言い換え、自動構造化を行うシステムを開発しました。そして、住民参加型ワークショップや市民参加型議論でシステムを検証し、ユーザビリティに関するアンケートやDQI(討議の質指標)などの指標を用いて効果を評価しました。

実証実験の成果と課題

口語による発言の要約・言い換え、自動構造化を行うシステムを開発し、市民参加型議論で検証を行いました。しかし、GPT-3の再学習では音声認識誤りの修正は難しかったため、提案手法より音声認識をそのまま表示した方が有意に高い評価でした。今後は、GPT-3.5やGPT-4のAPIを活用して、音声認識誤りの修正を試みる予定です。

市民参加型議論での実証実験において、言い換え・要約モデルの性能が音声認識の誤りを増幅することが判明し、提案手法よりも音声認識をそのまま表示する方が有意に高い評価を得たことが課題となっています。
この問題の解決に向けて、GPT-3の再学習では修正が難しかったですが、APIが公開されたGPT-3.5やGPT-4では修正できる可能性があり、実際にGPT-3.5-turboを使った予備的試行によって大幅改善が見込めることが確認されてます。
今後の展開ではこの新しいモデルを用いた改良が期待されます。課題の解決によって、システムの精度向上や議論参加者の当事者意識の向上など、長期的なゴールに近づくことができると期待されます。